知恵だより 007号
北海道のクマ

Sep. 19 1999

サケ、マスの数が増えるとヒグマの数が増える?

99年9月19日、気温:11度、天気:曇り、風:南西
出発地:北緯43度54分51秒/東経144度40分09秒
到着地:小清水町浜小清水=北緯43度55分17秒/東経144度 28分53秒
歩いた距離:24Km

 だんだんと疲れがたまってきたようです。

 朝、くつをはこうとしたら、ふくらはぎが痛みました。今日、24Km歩き終えて、ふくらはぎはさらに痛いし、つちふまずもくつ底の形そのままにこわばってしまったようです。

  昨夜「北海道大学ヒグマ研究会」の元メンバーで、現在は斜里町役場に勤める村上さんに話をうかがいました。知床の野生動物や北海道北部の事情全般に非常に詳しい方です。WSNの参加団体のひとつ中野第七中の自然探求部からのサケ、マスの数が増えるとヒグマの数が増えるのかという質問をたずねてみました。

  「それは難しいですね」と村上さんは考え込みました。「知床でも、川のマスを食べられるヒグマはあまり多くはありません。たいていの川にはふ化場があるし、ダムのような施設や障害物で、サケやマスはさかのぼることができないんですよ。」また、クマの主食は草やドングリや木の実などであると付け加えました。

  サケ、マス、とヒグマの数の相関関係を証明する確かな研究はまだなされていませんが、村上さんは関係があると思っていません。「たんぱく質が豊富に含まれるサケやマスを食べたヒグマからは、健康な強い子グマが生まれるまもしれません。でも証明することは難しいですといいます。

  同行してくれた、自然ガイドで未来への知恵めぐりのサポーターでもある崎野さんにも、同じことを聞いてみました。「昔は、ヒグマとマスの数には、とても深い関係があったのだと思うけれど、人間がダムなどを作り、彼らを隔ててしまったんじゃないかな。今では別々に生きている彼らの関係を証明することは不可能だね」と崎野さんは言いました。

  「番屋」と呼ばれる臨時の漁師小屋をヒグマがいくつも襲ったという新聞記事を村上さんが見せてくれました。1996年に新聞で報じられた襲撃事件ではクマが歯でかみつぶしたジュース缶が90個もひとつの番屋から発見されたそうです。ヒグマには襲うつもりはなかったと私は思いますが、クマはいったいどういうつもりだったのだと、みなさんは思いますか?

  野生動物が人間の存在に慣れすぎるのは、いいことか、悪いことか、聞いてみました。崎野さんの答えは「もし、人間が正しい知識を持っていれば、いいことだよ。そうでなければ、両方にとって危険なことだね。知床の漁師さんはしょっちゅうヒグマに出くわすけれど、お互いに知らん顔をしていればなんの問題もないんだ」。人間がゴミを森の中に残して、ヒグマがそれを食べるようになってから、番屋が襲われたり、人間が危険な目にあったりするようになったのです。

  ちょうどヒグマの話になったので、北海道を旅についての安全性を聞いてみました。

  北海道のヒグマは、アラスカのヒグマや、北アメリカのグリズリーと同じ種類で、「人間を襲います」と村上さんがいうので、僕は思わずゴクンとつばを飲み込みました。「でも注意さえしていれば、大丈夫だよ」。ヒグマの住む地域では、においをさせないようにすること、話をしたり、鈴で音を立てること、熊が近づいてきたら、逃げずにじっと立っていることなどアドバイスを受けました。

  この知恵めぐりの旅を始めるに当たって、たくさんの人たちが応援してくれました。一緒に歩いてくれたり、細かな手助けをしてくれました。彼らの助けなしには歩き始められなかったことでしょう。ここでお礼を言います。
 グレッグ

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