知恵だより 008号
おしっこで手を洗う

Sep. 20 1999

にょうは飲み水よりもきれいになるよ

手作りの牛のふんにょう処理施設 全く臭いません。

99年9月20日、気温:11度、天気:曇り、風:南西
出発地:小清水町浜小清水=北緯43度55分17秒/東経144度 28分53秒
到着地:小清水町中心街=緯度経度未測定
歩いた距離:8Km

 長い冒険の旅の最初の知恵袋ポイントとなる小清水町に昨日到着しました。獣医であり写真家で、作家で、環境保護活動家でもある竹田津実(たけだつ・みのる)さんは温かく迎えてくれました。

 竹田津さんが最初に案内してくれたのは牛のふんにょうを処理する施設でした。小高い丘の上には牛小屋があります。「一番高い所にある牛小屋からふんにょうが次に流れてくるんだよ」と、僕たちが立っている場所よりも少し上にあるふんにょうを溜める池を指さしました。「ふんを土に変えて、にょうはこっちの方に流すんだ」というのです。

 僕たちの下にはシャベルで掘った大きな穴が三つあって、シートがかけてありました。すべての段階が手作業で行われます。にょうと少量のふんを最初の大きな穴に入れると、バクテリアと微生物がにょうを分解します。にょうをただ土や水の中に流し込むよりも、ずっと早く分解されます。わずか2,3週間後にはにょうは畑にまけるようになり、ふんは4カ月で土になります。最後の穴の中に入ると「にょうは飲み水よりもきれいになるよ」と竹田津さんは言います。

 なぜ、どうやって始めたのか、まず知りたいと思いました。ずいぶん以前から、近くにある川や海の汚染が問題になっていたそうです。汚染は海のサケやマスに影響を与えていると考えられました。「ここでは、ふんを肥料に使っていた以前のサイクルに戻そうとしているだけなんだよ。牛の数が急に増えるにつれて、以前は役に立っていたものが、今度はゴミに変わる。ゴミを作らない古いサイクルは良い方法だったんだ。ゴミがでなければ、なんの問題もないだろう?」

一緒に歩いた北海道テレビの人たち。重い機材をもって僕についてこれるかな。

 処理が終わったふんとにょうはまた役に立ち、販売されているのです。なんと数年前に、処理を終えた肥やしを300トンも施設から盗んだ泥棒がいたくらいです。出来上がった肥やしは畑にまかれます。「一番上等の肥やしではないが、環境にも悪影響を与えないんだよ。処理済みのにょうで品質の良いものは消毒剤としてつかえるし、干し草にかけると消化しやすくなって栄養をとりやすくなるんだよ」と竹田津さんはいいました。

 竹田津さんは僕を試したのでしょうか、「にょうで手を洗ってみなさい」といいました。ためらわずに手ににょうをかけてみました。全く臭くありませんでした!土で汚れていた僕の手はとてもきれいになったのです。

 夕方、ラム肉のバーベキューを食べながら、竹田津さんに彼らの活動についてもうすこしうかがいました。ここ小清水では「大げさ」な環境保護運動はしない、毎日の普通の生活活動のなかで、できることをするのだそうです。

 かけ声だけは大きくて、実際にはなにもしない環境保護なんて、意味がない。僕らは特別なことはしていない、でも普通のことを沢山するように心がけているんだよ、と竹田津さんは話を結びました。小清水で彼らがしていることの重要性が納得できました。昨夜あつまった人たちは彼らがいう以上に、一生懸命やっているというのが僕の感想です。人間の日常的な生活活動が大きな成果をあげ、環境をまもっているという事実が、ここではごく当たり前のことのように思えました。

 もっともっとみんなに伝えたいことがあります。明日も待っててね。
 グレッグ

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