|
|
| Sep. 23 1999 |
アイヌの踊り、自然と一緒に成長すること
99年9月23日、気温:6度、天気:曇り、風:南西
出発地:阿寒国立公園・砂湯キャンプ場=北緯43度42分35秒/東経144度21分01秒
到着地:弟子屈(阿寒横断道路の入り口=北緯計測不能/ 東経計測不能
歩いた距離:10Km旅の状況
今日のスタートはつらかった。アキレス腱以外のことは何も考えられませんでした。歩くペースもすっかり遅くなって、まるでカタツムリのような速度で10Kmやっと歩きました。北海道テレビの本間カメラマンの方が僕よりも前を歩いていたくらいです。長い旅の中で、今がいちばん肝心な時です。最初の2、3週間を乗り越えれば、あとは東京の日本橋まで歩き通すことができるでしょう。毎日歩くという生活にからだが慣れようとしている時でしょうから、気をつけて歩きたいと思います。
明日には阿寒湖までの山道を37Km歩かなければなりません。お天気と僕の足が許すかぎり前進するつもりです。
昨日の夜の報告をします。「モシリ」のライブ照明は薄暗く、ステージの上を煙が流れ暗やみの中から踊り手の姿が現れました。アイヌの踊りを見るのは初めてです。「モシリ」はアイヌの人たちの歌をや踊りを演じ「アイヌの精神」を伝えようとするグループです。北海道内のみならず、世界中から見に人が集まってきます。反響を利用して音を出すムックリという木製の楽器(口琴)や伝統的な太鼓にギターやシンセサイザーや鈴などが加わって、歌詞はアイヌ語と日本語の両方です。踊りは動きが激しく、僕には狩猟の技術やアイヌの人たちの伝統的なくらしを表しているように見えました。新旧が混じった楽しい舞台でした。
ライブが終わってから二階に招かれて、「モシリ」の生みの親で、作曲家でもあるアトイさんにお話を聞きました。親切にいろいろと聞かせてくださいました。
グレッグ 「『モシリ』の活動を始めた理由はなんですか」
アトイさん 「文化は生き物です。その時代に合わせて常に変わっていくものです。『モシリ』は時代の求めにそって文化を創造しているのです」
グレッグ 「文化を創造することが環境とどんな関係があるんでしょうか」
アトイさん 「アイヌの文化では太陽や風や木や岩など全てのものに魂があります。それらのものを支配しようとするのではなくて、アイヌの人たちは長い年月をかけて、自然を敬う哲学を育てたのです。アイヌの人たちと自然の平和な関係を知る人は非常に少ないので、もっと多くの人々にわかっもらおうとしているんです。他の文化に対して私たちができることが何かあるかもしれません」
グレッグ 「その考えにもとづいて、毎日の暮らしでアトイさんとご家族が実際にやっていることは何ですか」
アトイさん 「山菜を集めに山へ行ったとしましょう。まず、山に入る前に、山の魂に挨拶をし、その土に生えている山菜を採る許可をくださいと頼みます。山菜を採るときはもし誰か他の人が来てもその人たちにも残っているように、また次の年にもちゃんと同じくらい生えてこれるように、採りすぎないように注意します。
私たちには土地を所有するという考え方がありません。土地は魂から借りていると考えます。だから、もし土地に何か良くないことをしたら、それは魂を侮辱したことになるのです」
グレッグ 「そういう考え方を次の世代にどうやって伝えていくのですか?」
アトイさん 「魂のことや自然と自分の関りなどは教えることができるようなものじゃない。自分自身で学んで覚えなければならないのです。私たちはよくこんなことを言います。『雲はすばらしい芸術家だなあ。』とか『ほら木が上手に踊るのを見てごらん』とかね。それが人間と自然のかかわりあいの出発点さ。岩は活きていると私が子どもの頃、教えられました。それから、長いことじーっと岩を見つめていたものさ。は、は、は」
短い時間だったけれど、アトイさんとの出会いは彼の考え方だけでなくアイヌの文化一般に対する興味を膨らませてくれました。また後でこの話題に触れるときがあるでしょうから、それまでは、雲がどんなに素晴らしい芸術家であるか、木がどんなに踊りがうまいか考えながら行きましょう。
グレッグ
![]()
Copyright World School Network & ECO-CLUB, 1998-99. No reproduction or republication without written permission.
この画面に掲載された記事・写真・イラスト等の無断転載を禁じます。すべての著作権はワールドスクールネットワークとエコクラブ、ならびにそれぞれの著作物の作成者に帰属します。Send feedback to info@wschool.net
ご意見、お問い合わせはinfo@wschool.netまで