知恵だより 014号

Sep. 26 1999

シカとフェンス

阿寒町国道241号線で国道にシカを入れないために作られたフェンスと迷い出たシカを森に戻すためのゲート。向こう側に立つのは崎野さん

99年9月26日、気温:16度、天気:晴時々曇り、風:南西
出発地:阿寒郡阿寒町と弟子屈町の境界
到着地:阿寒町・国道241号と240号の分岐点=北緯43度26分30秒/東経144度01分30秒
歩いた距離:23km

 台風18号は進路を変えて、阿寒国立公園をそれました。直撃はされなかったものの、昨日は強風が吹き荒れました。今日は台風一過、さわやかで新鮮な風の中を歩き始めるのはうれしいことでした。

 阿寒国立公園に入ってから、シカたちのようすが知床と全然違うことに気づきました(知恵だより005を見て下さい)。

 知床のシカは自動車にも大型バスにもカメラを振りかざした観光客にも、脅えることはありませんでした。

 阿寒でもシカを沢山見かけますが、ここのシカたちはエサを期待しているようすも、こちらに興味を持っているような気配も全くありません。僕がいることに気がつくやいなや、逃げ去っていきます。この地域ではシカ狩りが行われており、そこに住む野生のシカとしてはごく自然な反応だと思いました。

国道241号線沿いに見つけた美しい山のわき水

 ですが、阿寒では知床にはなかった光景を見ました。道路沿いに何キロにもわたって、鉄のフェンスが張られているのです。高さ2メートルはあるでしょうか。

 シカが原因の交通事故がよく起るので、人とシカの両方を事故から守るため、一定の場所にフェンスが作られたというのです。確かに交通事故の防止にはなるでしょうが、このフェンスのおかげで、人が森を自由に歩くことはできず、シカも自由に行き来できなくしています。フェンスのあるところではシカの姿を全く見かけません。一度だけなき声を聞いただけです。

 このフェンスには、数百メートル置きに、道に迷い出てしまったシカが森に戻れるような回転式の出口が作られています。森からは道には出れないけれど、道からは森に戻ることができるようになっているのです。

 しかし、いくらこんな工夫がしてあっても、フェンスで森と道を隔ててしまえば、シカは森の片一方に押し込められてしまうように思えます。シカのためになっているのでしょうか。

 今日の一番の発見は道のわきで偶然見つけた美しいわき水でした。もし車で走り抜けていたら、こんな喜びもなかったことでしょう。

 グレッグ

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