知恵だより 015号

Sep. 27 1999

トウモロコシを干す

足寄郡足寄町上足寄
干しトウモロコシの前で微笑む石崎さん

99年9月27日、気温:10度、天気:晴時々曇り、風:北東
出発地:阿寒町・国道241号と240号の分岐点=北緯43度26分30秒/東経144度01分30秒
到着地:足寄町・上足寄=北緯43度18分19秒/東経143度42分40秒
歩いた距離:26Km

 阿寒国立公園では紅葉が始まっています。

 カエデやナナカマドはもう濃い赤にかわり、黄色く色づいたほかの木々が、道ぞいをいろどり始めています。

 阿寒を背にして歩き、足寄に入ると、森はなだらかな丘に変わり、広い農場や農家、作業小屋が現れます。

 そびえる雌阿寒岳が後ろに見えます。小さな農場に出ました。家の壁にそって、まきがきちんと積み上げられ、何本かのトウモロコシがくさりに干してありました。古い車庫の中で誰かが何かしてているの音が聞こえていました。建物の小さな出口から頭に手ぬぐいをかぶったお年よりの女の人が背中を丸めて出てきました。

 「すみません」と声をかけると、その人は腰を曲げたままちらっと僕を見上げ、ニッコリして「何ですか」と答えました。干してあるトウモロコシについて聞いてみました。

足寄郡足寄町上足寄
国道241号沿の小さな流れ

 「これは熟れすぎたんですよ。トウモロコシは熟れすぎると、人間には食べられないので、こうして干しているんです」といいます。では、干してから、どうするんですかと聞くと、「せっかく、お日さまのお恵みをいただいたから使い道を考えたんです。干したら、実がとりやすくなるので、牛や馬に食べさせるんです。昔は何でも無駄にせず、全部使っていたんですよ」と、僕にも分かりやすい標準語で、気を使いながら話してくれました。

 彼女は石崎さんという名前で、青森から来て農業をやっていた両親の間に北海道で生まれたのだと教えてくれました。トウモロコシだけでなく、ビート、マメ、金時豆、ジャガイモなどをつくっていた両親の後を継いだのだそうです。

 「農業はたいへんな仕事でしょう」と聞きましたが、石崎さんは「私はここで生まれました。とてもきれいな場所です。ちょっと不便なこともあるけれど。町は遠いから、簡単に行けませんしね。でも、そんなに悪くない。こういうところに住んでいると、次に何をするのを前もって、考えておかなくてはいけないっていうだけですよ」といいます。

 石崎さんとの短い出会いで、骨と頭も全部使うという日の出のサケを思い出しました(知恵だより006をみてください)。捨てるところは全くないので、ゴミも出ず、健康的な食事を作っていました。ここのトウモロコシも最後の一つぶまで大切に利用されています。

 ここに来るまでに、トラックの荷台から落ちて道端でそのままになっている、ニンジンやジャガイモを見ました。僕の東京のアパートの前にはゴミが山のように出されます。石崎さんは、どう思うのでしょう。

 グレッグ

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