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泣く木の話
木の幹の傷あとが木の歴史をものがたっています。=勇払郡占冠村夕張新得線136 99年10月6日、気温:0度、天気:晴時々曇り、風:無風
出発地:占冠(しむかっぷ)村・トマム=北緯43度02分57秒/東経142度38分47秒
到着地:占冠村・占冠駅=北緯42度59分42秒/東経142度23分52秒
歩いた距離:27キロ今朝通りかかったトマムのリゾートタウンには人影がありませんでした。巨大なスキー場とゴルフ場に向かい合ってリゾート施設の従業員が住むアパートが立っています。ゴルフ場にはひとっこひとりいません。片側一車線の道路が鵡川(むかわ)沿いに曲りくねりながら狭い谷を下っていきます。
一本の古いニレの木のところまで来ると、まるでその木をよけるかのように不自然に道が曲っていました。木には看板が立てかけてありました。
大きな「不思議な泣く木」は今も136号線を見下ろしてたっています。=勇払郡占冠村夕張新得線136 「不思議な泣く木」と大きく書いてあります。看板の説明によると、その木は道路工事のじゃまなので、何度も切る話がでました。ところが、いざ、切ろうと木にノコギリを当てると、まるでうめくような泣き声をあげたのだそうです。人々はおそれを感じて切るのをやめたので、木は今でもそこに立っているのです。
幹に刻まれた4カ所の切り傷は、そのときついたノコギリの刃のあとなのでしょう。根元から見上げるニレの木はりっぱな感じがしました。高さは10メートルくらいはあるでしょう。葉が赤やオレンジ色に変わっています。幹についたコケや、朽ちた外枝が木の年齢とその戦いの歴史をものがたっています。
木の脇に座り込んで、何百キロにもなったこれまでの旅でみたたくさんの道路工事を思い出しました。こういう木がいったい何本の道路をつくるために切られたことでしょう。僕の目の前にそびえる巨木ような木を切ろうとしておそれを感じた人はいったいどれくらいたのでしょうか。
自然を敬う気持ちを、ぼくたちはだんだんなくしているように思います。自然から 遠くなればなるほど、その音や叫びが聞こえにくくなっているのでしょう。今日、僕 が見上げたニレの木は人々の間で伝説になるくらいの泣き声をあげました。人間がも う少し自然に耳を傾けてあげれば、木は大声で泣かなくてもすむのかもしれません。
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