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Oct. 7 1999 |
リゾート開発の村
占冠村の中心部にある真新しい広い歩道で出会った伊藤さん=勇払郡占冠村で 99年10月7日、気温:10度、天気:晴時々曇り、風:西
出発地:占冠(しむかっぷ)村・占冠駅=北緯42度59分42秒/東経142度23分52秒
到着地:日高町日高三岡橋
歩いた距離:19キロ一晩泊まった駅を後に、占冠村の中心部に向かいました。大きな交差点のそばには地元の特産物を売る施設がありました。道は異常に幅が広く、まっさらです。道の両側の建物も、出来てまだ二年も経っていないような新しさです。こんな光景は、今回の旅でも初めてのことです。
こんなことになったのは、村のはずれにできた巨大なリゾート「トマム」開発のおかげなのです。
通りで出会ったおばさんは、「道をいくら広くしても、私らにはぜんぜんありがたくないんだけどね」といいます。
「役場は、道沿いの家を後ろに引っ込めて作りなおすのにずいぶん金を出してくれた。でもここを通る車はみんなトマムに行く車ばかりだ」と、一緒にいた男性もいいます。大きなトラックが、ジーゼルエンジンの黒い排ガスを振りまいて、走り抜けて行きます。
「そうだね、もう15年にもなるかな。このあたりの土地はそんなに肥えているわけでもないし、地元の高齢化が進んでいたので、当時の村長がスキーリゾートを作ろうとしたんだ」
「スキーのゲレンデやら、ゴルフ場やら、それに背の高い 4棟の宿泊施設やらを建てた」
「地元の人間ではなく、本州からの観光客を引き付けようとしたんだな。景気が良いときはそれで良かったが、バブル経済が終わったとたんに、つまずいてしまった。去年、とうとう倒産だよ」
「あんなでかい建物を 4つも作ったのが間違いだな。2棟でやめとけばよかったんだ」そう、二人が説明します。
北海道を歩いて初めて見た棚田。こんな北でもコメを作る棚田があるなんてびっ くりしました=沙流郡日高町字日高で 昨日、リゾートの脇を通ったとき、本当にさびれた場所だと感じました。巨大なホテルの建物2棟と、ちょっと小さな2棟が、林の中にそびえたっています。かつてはスキー客でにぎわったのでしょうか、いまはまったく静まり返っています。だれひとり、広大なゴルフ場に姿はありません。
きっとこの広いゴルフ場にはたくさんの肥料と除草剤がまかれたことでしょう。芝生の部分は美しい緑なのですが、周りの木々は、山の向こうの木と比べてあきらかに生気がないのです。
このリゾートは、自分たちの場所に各地からの観光客を呼び込んだだけではなく、「開発」というものを村中にばらまいたのです。開発という名の元に、占冠村は舗装され、そして、空気は汚され、貴重な環境も切り売りされてしまったのです。村は、1980年代は絶頂期にあったといいます。いま村は財政難と環境破壊に苦しんでいます。トマムを譲り受けた新しい持ち主は、二度目の挑戦をすることになります。
トマムのようなリゾート開発は、日本中、そして世界のあちこちで行われています。目の前の利益は確かに上がるように見えますが、環境面、経済面で、本当に長期的なメリットが出るのかどうか、考える必要があるでしょう。
私が今日であった占冠の人々は、地域を立派にすることは、立派な建物や広い道を作ったり、お金をたっぷりつぎ込んだ豪華な誘致キャンペーンをするということではないということに気づき始めているように感じました。村が再度試みようとして環境と経済の活性化の試みが成功するように祈りたいと思います。
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