知恵だより 027号

冬を告げる雪虫

雪虫。これが群れになったらどんなか、想像してください(ちょっとピンぼけでごめんなさい)。

99年10月9日、気温:10度、天気:晴れ、風:北西
出発地:平取町(びらとり)町・幌毛志(ほろけし) 北緯42度43分06秒/東経142度15分38秒
到着地:平取町(びらとり)町・二風谷(にぶたに) 北緯42度37分42秒/東経142度8分55秒
歩いた距離:12キロ

 今日、沙流川の流れにそって歩きました。これまでに見た中で、もっとも川幅の広い川でした。谷間を曲がりくねって続いています。川はさらに広くなり、やがて巨大な「二風谷ダム」に出ます。

 薄い灰色の羽をつけた小さな白いかたまりが僕のシャツに舞い降りてきました。ぷくっとして白く、小さく丸めた綿のようでした。

 この雪のような昆虫は、「雪虫」と呼ばれていて、北海道に冬の訪れを告げる虫です。

 この虫を一匹見ただけでは、昔の人が「雪虫」と名づけたわけがわからないかもしれません。雪虫は、秋も深まり、もうすぐ冬、というころに、まるで雲のような群れとなってあらわれます。なので、雪虫と名前がついたわけでしょう。

 道から見ると、森にそって、雪のようにちらちらとただよっているのが見えます。たくさんの雪虫が、粉雪のようにただよっているのです。

 「たいてい、雪虫がくると、冬じたくをはじめる。雪虫がくれば、いつ雪が降ってもおかしくないからね。」と、今週初めに出会ったおじさんが言っていました。

 なので人々は、冬が来る前にすませてしまわなくてはならない作業に追われていたのです。

 農家の人たちは、ジャガイモ、ニンジン、ホウレンソウの最後の収穫と、マメの乾燥、そして畑の冬じたくに忙しそうでした。「私たちはね、雪虫を冬を迎える準備をする合図にしているんですよ。」と、一人の女の人が言っていました。

 なぜ、雪虫は晩秋に飛ぶのでしょうか。

 北海道でネイチャー・ガイドをしている崎野さんによると、この虫は、少なくとも二種類の異なった植物に寄生するのだそうです。季節が変わると、たくさんの違った種類の雪虫が寄生する植物を変えるのです。

 例えば、「トドノネオオワタムシ」という雪虫は、春にはヤチダモ類の葉の裏で生活し、夏にはトドマツの根に移って地下でくらします。そして、どの雪虫も晩秋になると、ほとんどいっせいに、春に寄生していたヤチダモの葉へと帰っていきます。「今見ているのも、このトドノネオオワタムシなのさ」と崎野さんが、空気に浮かんでいる雪虫を指さしながら言いました。

 どうして雪虫に冬がくることがわかるのか、科学的な根拠はまだ分かっていません。ただ、冬の準備をするために、自然がだしてくれる合図を利用している人々がまだいるということは確かです。人々は、十分な時間をかけて収穫をすませ、長い冬の準備ができるのです。自然の変化をよむことで、人々は季節に合わせて準備し、生きていくことができたのです。

 みなさんのまわりで、自然が教えてくれる合図はありますか。

 グレッグ

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