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| Oct. 13 1999 |
ウトナイ湖を守る
ウトナイ湖の静かな湖面を前にするハヤマさん。ハクチョウが1羽、そばを泳いでいた。 99年10月13日、気温:6度、天気:晴時々曇り、風:西
出発地::厚真(あつま)町 北緯=42度43分29秒/東経141度49分05秒
到着地:恵庭市・ 漁(いざり)川 北緯=42度53分05秒/東経141度34分32秒
歩いた距離:31.4Km今朝は、ウトナイ湖のレンジャーをしている葉山さんに、地元での鳥の保護活動について話を聞くことが出来ました。
日が上るにつれて、空が曇ったピンク色になってウトナイ湖の上を覆います。湖といっても、この地域に広がる湿地帯の中の浅い小さな存在です。向こう側に並ぶ工場地帯からは煙が何本も空に立ち上っています。
ウトナイ湖の鳥保護区は、苫小牧工業地帯の真中に残った貴重な自然の楽園です。車が行き交う国道36号線からも、数百メートル離れているだけです。間に広がるミズナラとトチノキの森が、511ヘクタールの保護区を守っているのです。
今朝は、湖面にはカシラダカ、コガモ、オナガガモ、マガン、コブハクチョウなどいっぱい鳥がいました。いま、湖には2000羽の鳥が来ているといわれます。
葉山さんは、ウトナイ湖のなりたちを話してくれました。湖は、もともともっと広い場所を覆っていて、いまは最後のごく一部になっているのだそうです。ずっと昔の開拓時代に、人々は湿地と沼を埋め立てて、生活の場を作ってきました。逆にいうと、開拓地はいつも洪水の危険にさらされていたことになります。
この人々が集まり住むようになった石狩地区を洪水から守るために、ウトナイ湖の自然が危機にさらされることになったのです。洪水から守るという名目で、日本政府は本来は北の日本海側に流れている千歳川の水を、洪水時には太平洋側に流してしまおうと考えたのです。調査をすると、千歳放水路ができると、ウトナイ湖全体が干上がってしまって、そこの動植物は破壊的な打撃を受けることが分かったのです。
当初の計画は、千歳川の流れを太平洋側に向けて長さ40キロにわたって、幅300メートルから450メートルの運河で付け替えてしまうことになっていました。
「いろんな団体が、計画には反対したんです」とひげを伸ばした葉山さんはいいます。苫小牧地区の漁民も、海への影響がでるのではないかと心配しました。あるときだけ真水が大量に海に流れ込むとなると魚への影響がでるかも知れないという理由だったのです。
ウトナイ湖の鳥保護区とネーチャーセンターは、地元ボランティアの協力で1981年に出来ました。地元の人たちに、湖とその自然を守ってもらうことがその目的だったのです。放水路計画から守ることが、その最初の保護活動になったのです。
葉山さんは、その後どうやって反対運動を展開したかを話してくれました。計画は、日本に残された大変貴重な湿地帯の生態系全体と、隣り合う手付かずのままの美々(びび)川を、破壊すると見られていました。その一方で、隣の石狩地区の洪水はその地域内で処理できるのではないかと繰り返されました。洪水はいつ起きるか分からない危険でもあったので、地元の人たちはどうすれば自然への打撃が少ない洪水対策ができるのか考えました。
葉山さんは「もともとの計画は、100年か200年に一度の洪水を防ぐという想定で作られました。しかし私たちは、当初計画よりも小規模な計画に切りかえるよう求めたのです。200年に一度を想定するのではなく、20年から50年に一度を想定してはどうかとね」といいます。
「あふれた水をためる遊水地を作ることで、被害を押さえることができる。堤防を補強することでも、被害を減らすことができる。一部の人たちは水をかぶっても一気にだめにならない作物に植え替えました。つまり、洪水被害を小さく限られたものにするための、環境にやさしいいくつもの方法があったのです」
地元の人たちがウトナイ湖の自然を守ろうとしたことで、計画は撤回されたのです。日本の自然保護にとって大変貴重な出来事でした。
これは、どうすれば地域の人々が自然を守ることができるかといういい例だと思います。みなさんの地域で、地元のためにがんばるということはどういうときに使われているでしょう。
グレッグ
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