知恵だより 032号

Oct. 14 1999

中古部品の店、大繁盛

車のシートに座った中瀬さん。テーブルはタイヤで出来ています。後ろではお客 さんが車を修理しています=北広島市で

99年10月14日、気温:10度、天気:晴時々曇り、風向き:北西
現在地:恵庭市・漁(いざり)川 北緯42度53分05秒/東経141度34分32秒
到着地:札幌市・清田 北緯42度00分04秒/東経141度25分47秒
歩いた距離:18km

 いらなくなった車をどうすればいいのでしょうか。

 知床から札幌まで歩いてきた539kmの間に、数えきれないほどの車が捨てられていました。今日はその解決の糸口を見つけたように思います。

 今朝、北海道で一番大きい都市札幌に近づいて、「都会ショック」を受けました。何百キロものいなかの道を歩いてきたあとでは、横断歩道の前で立ち止まるのは、なにかなつかしけれど、妙な感じがしました。風から僕を守ってくれた自然の森もありません。

 代わりに、巨大なディスカウントショップ、駐車場、ガソリンスタンド、いっぱいの電球で飾られたパチンコ店、そしていっぱいいる人間が、僕を取り囲んでいます。

 この旅では歩いていて人に会うことはあまりありませんでした。

 今日は、子どもたちがドッジボールやサッカーをしたり、中学生や高校生が制服姿でいたり、大人などがたくさん歩いているのを見かけました。にぎやかな所をすぎると、コンクリートや鉄や自動販売機の工場が並ぶ地域にでました。

 いつもならば後ろから僕を追い越していくような大きなトラックが、目の前の細い道から出てきました。荷台には窓ガラスもサイドミラーもない、枠だけになった車がたくさんのっていました。

 「工場に運んで、溶かすんだ」と運転手さんがいいました。鉄をリサイクルしているのは日高で会ったおじいさんだけではないのです(知恵だより026を見て下さい)。

自動車の中古部品店の前に並ぶ中古車の列。お客さんにとっては「宝の山」=北 広島市で

 その道をさらに行くと、「リサイクル部品の店」という看板に出会いました。

 広い敷地の中にはたくさんの車が何列も並んでいました。応対してくれた中瀬さんは、車の座席から作ったいすにすわって話してくれました。

 中瀬さんは「中古車と部品をリサイクルをしているんですよ」といいます。

 捨てられる運命の車を引き取ってくるので、ほとんどがただで集められてきます。

 「お客さんはたくさんある車の中から欲しい部品を探し出して、自分で取り外して、自分の車の部品と取り替えていきます。部品が全部なくなったら、工場に持っていって溶かして、新しい鉄の固まりにするんです」。

 部品や車のリサイクルだけでなく、中瀬さんは車から出るゴミも処分しています。

 オイルは抜いて工場で処理し、エンジンの冷却剤は事務所などの床暖房に再利用します。フロンガスは専門業者に渡して無害になる処理をします。

 この店では、修理やリサイクルのとってもいい方法をお客さんに提供しているのです。

 「自分の手で、部品を外したり、取り付けたり、修理したりすることによって、環境に対する意識を育ててもらおうと思っています。実際に参加することで、リサイクルの大切さが分かるでしょう。お客さんも、それを理解し満足してくれていると思います」。

 今年の4月に開店したばかりですが、お客さんはどんどん増えているそうです。「週末にはここに500人くらい来て、自分の車を修理していることもありますよ」と中瀬さんはいいます。

 「今は環境を考えないと生きていけない時代になっています。私たちは未来について考えないといけません。環境保護についてみんなが一生けんめいになるということが将来のために必要なんです。そう考えて、私たちは働いているんです」

 中瀬さんは、単にものを再利用したりリサイクルしたりすることだけを考えているのではないようです。日高で出会ったおじいさんと同じように、修理してさらに使うということを考えていて、それを多くの人に分かってもらうおうとしているようです。

 これまで日本のいなかの人たちの暮らし方をよく見ることで、たくさんを学ぶことができました。今日は都会には都会の知恵があることを知りました。しっかり見れば見るほど、何かを見つけることができるのです。あなたたちの地域には、どんな知恵がありますか?

 札幌ではもっとほかの発見ができることを楽しみにしています。

 グレッグ

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