知恵だより 033号

Oct. 15 1999

ゼロエミッション

選別工場の資源ゴミの山の前に立つ伊藤さん。毎日、70-75トンの資源ゴミがきます。

99年10月15日、気温:6度、天気:晴時々曇り、風向き:西
現在地:札幌市 北緯43度01分52秒/東経141度21分09秒
歩いた距離:0km

 今日は、札幌市リサイクル団地に行ってきました。

 札幌の中心部は、道が碁盤の目になっています。中心からはずれるにつれ、道は曲がりくねっていきます。

 豊平川に沿った札幌市の北側に、約110万の市民の環境への要望に応えるために、この団地が造られました。

 10棟の施設が23ヘクタールの土地に並んでいます。人と環境の調和を保とうとする取り組みである、「ゼロエミッション」を行うための新しいプロジェクトです。どの施設も新しく、大きく、再利用やリサイクルをするためのかしこい方法がいっぱいつまっています。

 ゼロエミッションは、ゴミをいっさい出さないためのシステムを作ろうとする、新しいアイデアです。世界中の大都市で、過剰消費と過剰なゴミが、環境の面でも、経済の面でも問題となっています。ゼロエミッションは、それを解決する新しい試みの柱なのです。

 この団地に施設を持つ会社はそれぞれ、ユニークで最新鋭の企業です。ゼロエミッションを通して環境の被害を食い止めようと、古い知恵と新しい知恵の両方を駆使しています。最初に、中沼資源選別センターを訪ねました。

 「日本は小さい国だから、土地がない」と所長の伊藤さんが言いました。「ゴミ公害があって、土地も限られているから、この団地を造ったのです」。

札幌生ゴミリサイクルセンターで、生ゴミからてんぷらの方法で作った魚のえさ を見せてくれました。

 工場の中は、ガチャンガチャンと、今日運び込まれたゴミをうるさい機械でつぶすようないろんな音がひびいていました。「札幌中のゴミがここに集まってくるんです。資源ゴミは、週に 400トンも来ます。ビン、ペットボトル、スチールとアルミの空き缶」。伊藤さんが説明してくれました。風の力や磁石を利用したいろいろな選別機や、人間の手によって、資源ゴミが分けられていきます。「資源」を「製品」にかえる会社に送られるのです。

 どんな「製品」が作られるのかを知るために、ペットボトルフレーク化施設に立ち寄りました。この施設ではプラスチックのビンを粉々にして、小さな破片します。

 高度な技術がここでは使われていて、X線カメラがプラスチックの色を見分けます。色つきのプラスチックを見つけたら、自動的にエアーガンが発射されて、透明なプラスチックとは別の箱に落とされます。軽いものは浮く、という単純な科学の法則も活用されています。プラスチックの破片は、洗浄用タンクの下の方に沈み、ゴミくずはタンクの上の方に浮きます。

 きれいになったプラスチックの破片は、衣類や、卵のパック、小さなアクセサリーになるのです。

 ちょっと古い知恵も使われています。

 札幌生ゴミリサイクルセンターでは、日本料理の方法が気のきいたリサイクルシステムになっていました。

 てんぷらは日本の料理で、魚や野菜にころもをつけて約180度の油であげたものです。その過程で、中の水分だけが抜けます。てんぷらにすることで、栄養分がなくならないことと、生のものより長もちすることで、日本人は昔からてんぷらを食べてきました。同じ原理をリサイクル団地で、応用しています。

 札幌のレストランから出た生ゴミは、生ゴミを油であげる設備に送られます。生ゴミは油であげられ、水分がとばされます。砕いて、フィルターを通して、魚のえさか肥料として売られます。さらに、この過程で出る水は安全な方法で、環境に戻されるのです。

 このほかに、廃タイヤリサイクル施設、廃コンクリート再生施設、建設系廃材リサイクルセンター、産業廃棄物リサイクルセンター、廃プラスチック油化施設、ペットボトルシート化施設にも行きました。

 このリサイクル団地は、ゴミがゴミ捨て場所に一方通行で行くという流れを変え、ゴミが再び資源となって戻ってくる仕掛けとなっています。完全なゼロエミッションができなくても、技術と伝統を創造的に結びつけることで、未来に望みが出てくるのです。この新しい努力を積み重ねることが、人間の新たな知恵となることを願っています。

 みなさんは、そうなると思いますか。

 グレッグ

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