知恵だより 041号

Oct. 23 1999

海辺の女性たち

植樹した木の前に立つ婦人部の人たち=室蘭市で

99年10月23日、気温:8度、天気:晴時々曇り、風:西
現在地:室蘭市=北緯42度19分30秒/東経140度58分39秒
歩いた距離:0km

 室蘭漁業共同組合の婦人部は、海の文化を守るためにとても力強い活動をして います。

 まだ夜明け前の暗い中で、七、八人の男の人が大型の漁船をゆっくりと接岸させました。婦人部の中越さんが、この船は朝の三時頃から漁に出ていたと、教えてくれました。サケ20匹、約60キロづつを甲板から積み下ろして大きな箱へ入れていきます。そこから、サケは大きな音を立てる選別ラインの上を流れて行き、その両側にいる十五人くらいの男の人がサケの大きさと、雄雌により分けて別々のカゴに投げ込んでいきます。活きのいいサケのはねる音が建物の中で響きます。あっという間にトラックに積み込まれて市場へ運ばれていきました。

 市場にはサケ以外にもアンコウや、カサゴなど、新鮮な魚が並んでいます。昨夜は海が荒れていたので、今日の水揚げはふだんよりも少ないそうです。僕たちが市場を出るころにはせりが始まろうとしていました。

未来への知恵めぐりのサポーターを出迎えて下さった室蘭漁協の方たち=室蘭市 で

 魚を捕ったり、市場にもって行ったりすることも大切な仕事ですが、婦人部の人たちは海と魚を守るために木を植えるという活動を始めたのです。まだ若いカシとマツの木が並んで植えられている前に立って婦人部の中越さんは「この当たりに木を植え始めてもう九年になります」といいました。僕たちの足下の急な斜面は目の下の青い海へと続いています。冷たい秋の風が東から吹き抜けました。

 「森は魚のふるさとだと私たちは言っています。このあたり一帯、以前は森だったんです。ところが、戦後、燃料や建材用にほとんどが切り倒されてしまったんです。私たちは、100年前の森の姿を100年計画で取り戻そうとしているんです。森は汚れた水が海に流れ込むのを防いでくれますし、落ち葉は魚のエサになるプランクトンを増やしてくれるんです」

 婦人部の活動はそれだけではありません。とってもおいしい上に健康的な魚中心の食生活の文化を地域の人たちに伝えるために、料理教室を開いています。

サケ!どっちが雄でどっちが雌か分かりますか?=室蘭市で

 「近ごろの人は魚の料理の仕方を知りません。一番おいしいのは自分で工夫して作った料理です。ほとんどの人は切り身になっている魚を買ってきます。料理教室に来るお母さんがたの中には、魚の腹を開くだけできゃーきゃー大騒ぎする人が何人もいます。お母さんがそんなふうでは、子どもたちが魚好きになるはずがありません。魚のおいしい料理法はほんとうにたくさんあります。子どもと一緒に魚を料理しておいしく食べることで、私たちの文化の知恵を伝えたいと考えているんです」

 室蘭の海辺に生きる女性たちは自分たちの文化を伝えようするだけでなく、森と海と魚を結びつけようとしているのです。とても賢い人たちだと僕は思いました。みなさんはどう思いますか。

 グレッグ

 

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