知恵だより 046号

Oct. 28 1999

岩木山

99年10月28日、気温:8度、天気:雨、風:北西
出発地:国道28線の白龍神社=北緯40度33分24秒/東経140度16分57秒
到着地:青森と秋田の県境釣落(つるべおとし)トンネル=北緯40度26分21秒/東経140度19分08秒
歩いた距離:19Km

津軽平野にそびえたつ岩木山

 岩木山は、青森県の西側にある津軽平野にそびえ立っていました。神聖な山でもあり、豊かな自然の宝庫でもあります。岩木山自然学校代表の高田さんは、この山にまつわる民話と、高田さんがしている、ここの自然を人々に伝える活動について話してくれました。

 「例年、岩木山にまつわる信仰の行事は主に二つあります」。高田さんは、元気いっぱいに笑みをうかべながら言いました。「『お山参詣(おやままいり)』は、岩木山神社の五つの魂を崇拝する津軽の人々の祭りです。津軽中の人々が集まって、神社まで行列になって歩きます。わらをぶらさげた背の高いものを山のふもとの神社までかつぎます。山の霊を信仰しているからです」。津軽の人たちは、長い間、津軽平野に高くそびえ立つ山をあがめてきたのです。

 「もう一つの大切な行事は、『ついたち山』です。旧暦8月1日の前夜、地元の人たちが儀式のために集まります。人々の行列は、たいまつを灯し、岩木山の山頂をめざします。山頂に着くと、たいまつを消します。参列者たちは、新月の暗やみのなか、日の出を待つのです。」この儀式は、新たな誕生の象徴なのです。

 信仰の対象となっていることに加え、岩木山には、豊かな自然があります。この自然の中で、高田さんは、人間と自然の関係に注目しています。

湯の沢川の小さなダムからほばしりでる水

 「もっと、自然に関心を持ってもらいたくて、活動しているんだ。人が、自分と自然の関係を見い出すためのきっかけ作りをしているんだ」。高田さんは、それが高田さん自身の任務であるかのように言いました。「きのこや山菜とりに行ったり、森の恵みから工芸品を作ったり、子どもたちを地元のマタギ(狩人)の人のところに連れていったりするんだ」。高田さんがいう、人々が自然との関わりに気づくためのきっかけとは、岩木山の森に連れて行くことなのです。

 「人が、直接自然と接することができるのは、森の中なんだ。そうやって、学びのきっかけになると思う」。

 「お山参詣」と「ついたち山」は、人間と自然の関わりを示す、伝統的な方法です。この伝統が受け継がれていく一方、高田さんは、同じ岩木山の自然と人々の関係について考える新しい方法を求めています。

 岩木山は、津軽の自然と信仰のしるしです。みなさんのまわりには、地域の人たちのために大事な役割を持っている目印がありますか?

 今朝、激しく降る雨の中を出発しました。岩木山の姿が遠くに消えていきました。人の住んでいない地域に入る前に最後に人と出会った時、津軽弁と奮闘しました。女の人が、りんごをたくさんくれたのです。この3日間で3回目です。

 湯の沢林道をめざしました。泥水が狭い谷間をごうごうと音をたてて流れていました。さびたようなオレンジ色に色づいた葉が、丘をおおっていました。そこら中、雨水であふれていました。雨水の量と流れる速さはすさまじく、こわかったです。午後には青森と秋田の県境の峠に着きました。

 グレッグ

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