知恵だより 047号

Oct. 29 1999

コンクリートはどこまで

99年10月29日、気温:8度、天気:晴時々曇り、風:北西
出発地:青森と秋田の県境釣落(つるべおとし)トンネル=北緯40度26分21秒/東経140度19分08秒
到着地:藤里町湯の沢=北緯40度18分31秒/東経140度17分32秒
歩いた距離:23km

県道沿いのコンクリート壁=秋田県県道西目屋二ツ井線で

 白神山地は以前は人里はなれた地域でした。道はもともと切り倒した木を運び出すためのものだったのです。ところが、昨日から今日にかけて僕が歩いたのはコンクリートとアスファルトで固められた道でした。それどころか、道の脇の山肌までコンクリートとアスファルトでおおわれていたのです。

 大きなスギやブナ、カシやカエデ、クルミの木が藤里へ下っていく谷間の道の両側に並んでいます。鮮やかなスギの緑が、ブナやカシやカエデの赤や黄色の葉っぱとまぶしいほどのコントラストを見せています。冷え冷えとした秋の風と真っ青の空は山歩きにはぴったりです。大きなブナの木の姿からは、長く風雨にされたその木の一生が浮かび上がってきます。

 早朝の山の静けさは、工事の騒音に破られてしまいました。この旅で道路工事に出会わない日はほとんどありませんでしたが、今日も例外ではありませんでした。それにしても、こんな山奥でこれほど大規模な工事をしているとは予想していませんでした。

 北海道で出会った工事関係者は、「道路工事の技術は驚くほど進歩しました。地盤が固かろうが、軟らかろうが、山を貫ぬこうが、海を渡ろうが、安全な道をどこにでも作ることができます。そして、環境を考え、木や草を植えることもしています」といっていました。

落石よけのネットを張る作業=秋田県県道西目屋二ツ井線で

 日本の道路工事の技術が進歩したことは間違いありません。この分では、日本中にもう舗装する土地がなくなってしまうまで、工事が続いていくのかなと思います。

 作業員が一列に並びました。巨大な鉄のあみが地上20メートルくらいにまでクレーンからつるされています。斜面の一番上にいる作業員が、あみの一番上の部分をボルトで止めています。歩いていくと、山が道のためにどのように削られたかが良く分かります。コンクリートの壁が、道からずっと上の方まで伸びている場所もあります。

 「この道はとっても幅がせまくて、木を運び出すのがやっとでした」と工事現場の一番南の端にいたガードマンはいいました。「過去に事故があったというわけではないんですが、2年後にこの道が完成すると、道も広くなり、カーブもへって、観光客が入れるようになります」というのです。そんなにたくさんのお金を使い、明らかに環境に大きな影響を与える工事をする意味が僕には全然分かりません。少し時間はかかるかもしれないけれど、古い道でも観光客はそんなに困らないのではないでしょうか。

真ん中でおれたブナの木。白神山地の土着のブナの木は100年経たないと成木とは 呼ばれない。

 山の奥の奥まで工事が行われていることを知って、いったいどこまで行ったら、工事をやめるんだろうと考えずにはいられませんでした。大規模の工事は騒音をだし、空気と水を汚し、エコシステムを破壊し、野生生物をとじこめることになります。道路工事の技術が賢明な進歩と呼べるかどうか、疑わしいと思います。人間に知恵があるならば、そういう技術をどのように使うか良く考えるべきです。みなさんはどう思いますか。

 グレッグ

 日本は世界でも有数のコンクリート消費国だと言われています。この国の道も海岸もほとんどがコンクリートで固められています。みなさんからたくさん宿題をもらったので今度は僕から皆さんに宿題を出します。日本の国が一年間に使うコンクリートの量を調べて僕に教えて下さい。

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