知恵だより 049号

Oct. 31 1999

ブナの森を守る

99年10月31日、気温:8度 天気:晴時々曇り 風向き:無風
現在地:藤里町湯の沢=北緯40度18分31秒/東経140度17分32秒
歩いた距離:0km

鎌田さんは、樹齢400年のブナの樹の周りの地面に穴を掘ろうと金属の棒を突っ込んでいます。この穴のおかげで、樹は水や酸素がとれるのです。根元に散らばった枝は、痛んだ土の栄養分となります=藤里町岳岱(たけだい)で

 今日一日、秋田の自然を守る友の会のメンバー達と一緒に過ごすことができました。30年近くも、白神山地とその周辺地域の豊かな自然を楽しみ、それを次代に伝えるために一生懸命に活動している人たちです。中心となっている5人のメンバーが誘ってくれて、シンボルとなっている樹齢400年のブナの木の世話と清掃パトロールの手伝いをしました。

 会の代表の鎌田さんは「自然保護活動とは、まず行動することです」と言っています。僕はまさにこのグループがやっている活動を見ることができたのです。

 「この木の周りの土はとても痛んでいるんです」と鎌田さんが厳しい顔つきで言いました。「白神山地が世界遺産に指定されてから、たった5年で、被害が起きるようになったんです」。

 見る者を圧倒するような大きさのブナの前に立って鎌田さんは続けました。コケがぶ厚くついた幹の回りは、少なくとも2、3メートルになっていました。巨大な枝が一本が落ちていて、この木の厳しい状態を示していました。

秋田の自然を守る人たちと一緒にゴミ集めを一日しました=藤里町岳岱で

 「観光客がここの地面を踏みつけるので、徐々に地面が硬くなっていくんです。そうすると、水が吸収されにくくなり、木の健康は害されて弱っていきます」。午前中は、木の根元をブナの小枝で囲むこともしました。ブナの小枝はそのうち朽ちて、木が成長するためるの、良い栄養分となります。また地面に穴を開ける作業もして、水や酸素の吸収が良くなるようにしました。

 60歳代ばかりの5人が、森の中に消えていったと思うと、ブナの小さな小枝から大きなものまで抱えて戻って来ました。のこぎりやナタを使って、この身軽で元気な人たちは十分な量を集め、木の根元に並べたのです。

 次に、長い鉄の棒を使って地面に穴を掘りました。地面に穴を掘ってみると、どんなに地面が硬くなっているかがわかります。一番硬い所では、自分の全体重を棒にかけて、穴を掘らければならないのです。

 「この樹は樹齢400年で、このあたりにある他のブナの木の母と言える木なんです」。鎌田さんが、周りにある木々を指しながら言いました。「これは、ここ白神山地のブナの森の素晴らしさのシンボルなのです。私達がこの素晴らしさを分かち合い、みんなが森について学べる場所を確保することはとても大切なことです」。

 このグループは世界遺産を守るためにがんばっていますが、それだけではなくて、世界遺産の周辺部の環境や地域の要望にも応えようと一生懸命です。僕たちが今日いた場所は、世界遺産の場所ではないのですが、ブナの自然観察林に指定されています。

何だかわかるかい?(きりたんぽ)=藤里町岳岱で

 午後は、森のそうじをしました。「森を守るためにはこの作業は、やめるわけにはいかないのです」と鎌田さんが言いました。「人が森に入れば入るほど、手入れが必要なのです」

 木々を守ることや、ゴミを拾うことも、一連の作業なのです。僕たちはグループに分れて岳岱(たけだい)地域の砂利道を歩き、観光客が捨てていった、いろんなゴミを拾い集めました。グループの人たちは、ゴミを探して、道すじから森の中に入ったり出たりしながら進みました。みんな手慣れていて、森の中から出て来るたびににっこりしていました。ほんの2、3時間で、小さなトラックの荷台一杯ものゴミを集めました。

白神のブナの森のきれいな水。森は水を溜めておく自然のダムというだけでな く、一年を通して周辺の地域にきれいな水を供給してくれるのです。=藤里町岳岱で

 このグループがどうしてこんなに活発に前向きに活動出来るのかと聞いたら、石田さんという人が答えてくれました。「ブナの森が自分たちにエネルギーをくれるのです。ブナの森に来ると、とてもいやされます」。ブナの葉の間から差し込んでくる太陽の光をほほに感じた時、僕は、石田さんの言った意味がわかりました。

 この年配の方たちの固い結束や、情熱、元気一杯のエネルギー、そして秋田の白神の森に対する考え方には、励まされます。自然との新しい関係を見つけているこの人たちの活動は、自然との調和を探している私たちにヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

 グレッグ

 今日はアメリカではハロウィーンだけど、みんなどうしてるかな?

知恵のトップ画面へ
<

Copyright World School Network & ECO-CLUB, 1998-99. No reproduction or republication without written permission.
この画面に掲載された記事・写真・イラスト等の無断転載を禁じます。すべての著作権はワールドスクールネットワークとエコクラブ、ならびにそれぞれの著作物の作成者に帰属します。

Send feedback to info@wschool.net
ご意見、お問い合わせはinfo@wschool.netまで