知恵だより 050号

Nov. 1 1999

世界遺産への無関心

99年11月1日、気温:8度 天気:雨 風向き:北西
出発地:藤里町湯の沢=北緯40度18分31秒/東経140度17分32秒
到着地:二ツ井町仙の台=北緯40度08分31秒/東経140度12分57秒
歩いた距離:23km

 最初は小降りだった雨がだんだんひどくなり一日中降り続けました。かさをさしたお年よりの女性が何人も通りを歩いていました。ちょっとゴミを出しに行く人や、すぐ近くにある野菜の販売所への行き帰りのようです。地元の新聞をくばっている途中の女性にも会いました。前日と前々日は白神山地の保護に直接関る人たちに話を聞いたので、今度は一般の人の意見を聞く絶好の機会です

 「年に何回かキノコ狩りにふもとの辺りへ行くくらい」と女性の一人はいいました。「世界遺産の場所へは一度も行ったことがない。世界遺産に指定されたことは私たちにはあまり関係はないけど、都会から観光客がたくさん来るようになったのはたぶん良いことだと思います」。

 藤里の隣村二ツ井で食堂を開いている人は「突然、みんなが白神、白神っていい始めたんですが、私は一度も行ったことがありません。私たちには全然関係ないですね」といいました。白神の自然を守るべきかどうかとたずねても、「そういうことには興味がありません」というだけです。最後に話を聞いた人も、白神山地にはいったことがありませんでした。「保護活動はいいことだと思いますよ。遠いところのように感じますけれどね」といいました。

 藤里町で白神山地の保護についての話をたくさん聞いてきたので、ここの人達が、世界遺産についてあまり興味がなさそうだということにちょっと驚きました。自然保護活動に熱心な人たちは白神の保存にとても一生懸命になっていますが、普通の人たちにとってあまり意味はなさそうです。

 ブナの森の中を流れる清流はその付近の人に大きな影響を与えているはずです。飲み水も農業用の水もそこから来ているのです。それを見落とせば、地元の住民にとって白神山地は都会の人を引きつける観光地にすぎないのです。

 二ツ井を抜けて進むとだんだんブナの森から離れます。二ツ井の南の狭い谷間に入ると辺りが暗くなります。暗く冷たいスギの森を急ぎ足で通り抜けていくと、雨が田んぼに跳ね返る音が響きます。黒いシルエットを見せる山の上に霧が漂っています。今日の目的地仙の台についたのは日もとっぷりとくれた六時頃でした。ある一家がマキ小屋にテントを張ればいいよといってくれました。

 グレッグ

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