|
|
| Nov. 5 1999 |
ハタハタ禁漁 その2
99年11月5日、気温:8度 天気:時々雨 風向き:西
現在地:秋田県男鹿(おが)水産振興センター=北緯39度51分31秒/東経139度48分41秒
歩いた距離:0km
焼いたハタハタ 昨日と今日の二日間、秋田県で行われた3年間のハタハタ禁漁について学びました。一度は激減したハタハタの回復は小さな火のようにいっぱいに広がった運動の結果だというのです。
海の資源をどう管理するかについての秋田県の取り組みについて話を聞きました。
水産振興センターの杉山さんは海の資源には3つの特徴があるといいます。
まず、「自己再生産」です。農業や林業、畜産業とは違って漁業は海自身が次々に魚を育む力に大きく頼っています。自己再生産というのは、それが今どのような状態なのか、理解するのがむづかしく、また一度なくしてしまうと取り戻すことはとても困難です。
もうひとつ農業や林業とちがう特徴は持ち主がいないことです。そのせいで、海の資源は捕りすぎてしまいがちになるのです。
最後に海の資源は不安定で、変わりやすいということです。人間にとって海はいまだに神秘的でその働きは正確にわからないのです。
そのような海の資源の複雑さと1980年台のハタハタの激減を考えに入れて、秋田県漁業協同組合や研究者や、地元の漁師さんたちはハタハタを元のように戻す方法を考えました。
杉山さんは、「海の資源に対して人間ができることはとても少ないのです。例えば、海水の温度をたった一度高くすることだってできるわけではないし、エルニーニョやラニャーナのような気候の変化に対してもどうすることもできません。私たちにできることといったら、捕りすぎないこと、産卵場所の状態を良くしてやること、人工ふ化場を作ってハタハタを放流すること、そして、海の汚染をへらすことです」といいます。
この目的のために、自然をよく調査し、科学的ないくつもの判断が必要となったのです。
秋田県水産振興センターの人工ふ化用タンクの前の杉下さん 「まず最初に、ハタハタがどこに住んでいるのか、何を食べているのか、どのように移動するのか、産卵をする年齢などを知らなければなりませんでした。それから、漁師が漁に使う器具、漁師の数、その収入、文化や伝統なども忘れてはなりませんし、漁師さんの間での意見の相違も考えなければなりません。そういうことを全部、調べて判断してから、初めて資源を運用する計画を立てられるのです。私たちはそれをちゃんとやったから、 3年の禁漁が効果を上げるということは、はっきりしていたのです」と杉山さんはいいます。
ハタハタを海に呼び戻すために関連する団体の人が全員で努力したのです。僕が話をした漁師さんや仲買人さんによると、3年間の禁漁が効果をあげるかどうか疑問もあったそうです。とにかく漁協や県や研究者そしてなにより地元の漁師さんそれぞれの小さな火がいっぱい広がって、3年間の禁漁を守り抜くことができたのでした。
いっぱいに広がった小さな火のおかげで、禁漁は全員一致の賛成となりました。そしてその全員一致という伝統が今も続いて漁獲可能量も全員の一致により決定されています。漁獲可能量は法律で一方的に決められるのが世界の通例で、秋田県のようにみんなで話し合って合意するというのは、世界でも例のないことです。
1995年に、3年の禁漁の結果を見にいった漁師さんたちは禁漁前の2倍の漁獲量にうれしい驚きの声をあげたのでした。それから毎年漁獲量はのびています。その理由は自主的な漁獲量の制限と、人工ふ化にあると思われます。漁師の中には母なる自然の回復力によるという人もあります。
秋田県が行ったのは自然の保護ではなく、資源の運用だと杉山さんはいいます。海の資源を増やせば、漁師は収入を得ることができます。それが大きな原動力となって、ハタハタの禁漁が実現したのです。自然界を理解しようとつとめ、人間の力の小ささを知りながらもできる限りの努力をすることが、人間と環境の両方に大きな貢献をしたのです。
「私にとってハタハタは地球です。ハタハタが私たちの努力に応えてくれたとすれば、地球も人間の努力に答えてくれるということになるのではないでしょうか」。杉山さんの言葉が僕の頭の中に残ります。
ひとりひとりの小さな情熱の火が、人間と母なる自然が対話できるかどうかという新しい試みにつながっていったです。そしてそれは、成功したように思えます。
グレッグ
![]()
Copyright World School Network & ECO-CLUB, 1998-99. No reproduction or republication without written permission.
この画面に掲載された記事・写真・イラスト等の無断転載を禁じます。すべての著作権はワールドスクールネットワークとエコクラブ、ならびにそれぞれの著作物の作成者に帰属します。Send feedback to info@wschool.net
ご意見、お問い合わせはinfo@wschool.netまで