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| Nov. 15 1999 |
雪囲いと地域社会
屋根のカヤを手入れしてきびしい冬に備えるために集まった近隣の人たち=朝日村田麦俣で 99年11月15日 気温:5度 天気:曇り時々雨 風向き:西
出発地:東田川郡朝日村田麦俣(たむぎまた)=北緯39度33分28秒/東経139度 56分34秒
到着地:西村山郡西川町志津=北緯38度29分31秒/東経140度00分04秒
歩いた距離:26kmアメリカ育ちの僕にとって、地域社会との付き合いというのは、たとえば隣りのギルモアさんから芝刈り機やミルクを借りるくらいのことでしかありませんでした。今まで数年間住んだ東京では、そんな付き合いさえもほとんどありませんでした。でもきのう、田麦俣をたずねて、地域の人々が茅葺き(かやぶき)の家に雪囲いを作るため準備をしている光景を目撃した時、日本の地方では地域での助け合いの精神がまだ消えていないことが分かりました。
その家は、国の文化財に指定されていますが、今でも人が住んでいます。冬の間の深い雪から家を守るために、村中の家からそれぞれ最低 1人が集まりました。
大きな茅葺きの家のまわりで数人が忙しく働いているのが、遠くからも分かりました。屋根の厚さは1メートル近くもあるように見えました。
茅は1本1本ていねいに並べられ、そろえられます。わずかに上向きの軒のせいで、屋根はまるで武士のかぶとのようです。屋根のすぐ下、家をぐるりと囲んだ枠に、茅を束ねてとりつけます。茅の層は薄くても断熱材となり、4メートルにも達する深い雪から家を守ってくれるのです。雪はまもなく降り始めます。
岩の上からまるで手の指を広げたように落ちてくるきれいな滝の水=朝日村田麦俣で 茅葺き屋根の手入れをすることで、この山村に地域のつながりが生まれ、作業の技術も受け継がれてゆくのだと聞きました。「茅葺き屋根は、ひんぱんに手入れをしたり修理をしたりする必要があります。作業には多くの人手が必要なので、昔はいろいろな面で地域に助けてもらったものです。屋根の上で働くことで、助け合いと頼り合いの気持ちが生まれますし、若い世代に技術を伝えることもできるのです」と、あるお年寄りが教えてくれました。
村が小さくて、と大勢の人が口にしました。なにしろ村には30戸しかないのですから、それは事実です。でも、その小ささが助け合いの網を育て、村民たちが厳しい環境の中で生きていくために役立っているのです。
みなさんが住んでいる場所では、地域としてどんな活動をしていますか。都会で地域的なつながりを作るために、なにかヒントはありますか。
田麦俣を出発した僕は、山形県の深いブナ林に足を踏み入れました。さらに内陸へと山道をたどる僕を、この地方の霊山である月山と湯殿山が見下ろしていました。天気予報は雪です!
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