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| Nov. 19 1999 |
クマ狩り
地元で捕獲されたばかりの6才のクマ =西川町大井沢で 99年11月19日 気温:5度 天気:曇り 風向き:西
出発地:西村山郡西川町大井沢=北緯38度24分14秒/東経139度59分35秒
到着地:西村山郡朝日町=北緯38度14分19秒/東経139度59分37秒
歩いた距離:25.5km「クマを捕まえた」という連絡が、志田さんと一緒に宿に戻ろうとしたちょうどその時、志田さんの友人からありました。
それからの数時間、人々がすばやくクマの皮をはぎ、内臓を取り出し、最後のひとかけらまで全てを利用できるように処理して行く様子を見ました。まさに志田さんと一緒にいさせてもらう中で、一番期待していたことが起きたのです。大井沢で何百年にもわたって受け継がれてきた伝統を幸運にもこの目でみることができました。
クマは大きな青色のビニールシートの上に横向きに寝かされていました。6才ぐらいというそのクマの身長は1メートル15センチ、ガレージの薄暗い光の中で、その濡れた真っ黒い毛皮が光っていました。こんなにすぐ近くでクマを見たのは初めての経験でした。私の出身地ニューヨークでは、クマは観光客向けの可愛い動物として使われていたので、手を伸ばしてまだ温かいクマの毛皮に触れた時、複雑な気持ちがしました。
家族や友人のためにクマの肉を切り分ける作業を始めました=西川町大井沢で 私は神様に短いお祈りをしてから、猟師さんらのやっていることに注目しました。
クマは確かに可愛い動物ですが、山形県の深い山奥ではずっと昔から猟師によって捕獲されてきました。クマ肉は重要なタンパク源ですし、毛皮と胆のうは村の人たちの記憶に残る限りの昔から、地域の住民の収入を補ってくれてきたのです。そして今でもその事情は同じです。
渋谷さん(62才)がこのクマを午後2時55分頃に撃ちたおしました。クマ狩りは大人数のグループで行うものですが、今日は渋谷さんが全てを一人で行い、3発の弾でしとめたのです。「かつては、山奥まで行かないとクマは捕まえられなかったのだけど、現在ではクマの数がとても増えたため、村のすぐ近くで見つけることができるようになりました。このクマは道路からほんの150メートルのところで撃ちました」と渋谷さんはいいました。渋谷さんにとって今シーズン最初のえものでした。
クマは通常、ネギととれたてのキノコを加えて「クマ汁」にします=西川町大井沢で 志田さんの二人の友だちがクマを切り開き始めると、志田さんは、「私たちはクマの最後のひとかけらまで利用します」と話してくれました。彼は若い猟師さんたちの仕事ぶりを黙って見ていましたが、胆のうが取り出される時には、ちょっと注意を与えました。志田さんは胆のうを大変慎重に取り出しました。それはまるで生まれたばかりの赤ちゃんをを取り上げる時のようでした。(この胆のうがクマの身体の中でも一番高価な部分だからです)。
捕まえたクマは普通、猟師さんの間で平等に分配されます。今日は渋谷さんが捕まえたので、彼が家族や友人たちに分けました。「他の人にも分けると、肉はほんの少ししかなくなってしまいます」といいました。志田さんと私は小さな肉の包みをもらって家に帰りました。
クマ狩りの伝統には長い歴史がありますが、若い世代の中にはこれについて複雑な感情をもっている人もいます。
志田さんの息子の志田忠昭(ただあき)さんは「私もクマ狩りをしてきましたが、その必要性は年々小さくなっているように感じています。必要な栄養は店で簡単に手に入るからです。昔はクマやウサギが大井沢の食生活の必需品でしたが、今はあまり重要な食品ではないようです。その上、野生動物が減少している現在では全ての生命を守ることが大切だと思います」。
また、殺したくないという自分の気持ちと、大井沢の狩猟の伝統を守るということをどう折り合せるかという難しさを志田さんは認めています。私もそうだと思い、うなずきました。
私たちが何を食べても、生き物の命を奪うこと変わりはありません。その意味ではそ、スーパーマーケットで買ったものでも、大井沢の山中で手に入れたものであろうと、同じことです。
自分が料理したり、食べたりするものを、どのようにして無駄なく扱い、無駄にしないで食べるかという点に、この志田さんの悩みに対する答の一部があると思いますが、みなさんはどう考えますか。 グレッグ
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