知恵だより 080号

Dec. 01 1999

トチもち

うれしそうにトチの実の皮をむく子どもたち=小国町石滝で

99年12月1日 気温:3度 天気:晴時々曇り 風向き:北
現在地;西置賜郡小国町=北緯38度03分42秒/東経139度45分33秒
歩いた距離:0km

 食の知恵探しというテーマに取り組んでいる小国小学校との活動の二日目です。今日はクラスメートのひとりのおばあさんを訪問してトチもちづくりをおそわりました。この活動も「知恵だより079」で報告した彼らの「未来食」探しのひとつなのです。

 食べ物が十分になかった頃の日本人は、さまざまな工夫をこらして、栄養を補ってきました。昔必要に迫られて生まれた食べ物が、いまでは健康でおいしい食べ物として見直されているのです。あるクラスメートの努力を通して、北部小学校のみんなはトチもちを再発見したのです。

 そのクラスメートの家の裏にみんなが集まって、もちをつくのを見たり、実際に手伝ったりしました。後ろには雪をかぶった山が見える庭で、おばあさんの斎藤さんがどうやってトチの実のにがみをとるかという話をみんな真剣に聞いていました。

 にがみをとりおわっていないトチの実を口に入れた子は「うわーにがい」といいました。完全ににがみをとったトチの実をかじったもうひとりの子は、「これはけっこういけるよ」といいました。そのままでは食べられない自然の幸を食べられるようにする方法を、日本人はたくさんあみだしてきました。渋ガキが良い例ですが(知恵だより062を見て下さい)、このトチもちもまたそのひとつです。

子どもたちがもちをつきおばあちゃんがこねます=小国町石滝で

 斎藤さんは、トチの実のにがみをとる方法(皮をむいて、水につけ、水を替えてまたつける)を手短かに話してから、トチの実の粉ともちをうすに入れて優しくこね始めました。おばあちゃんがきねを持ち上げるたびに、きねの先にはもちがくっついてきます。本格的にもちをつき始めるとうすの周りにいた子どもたちは後ろに跳びのきました。水やもちがあたりに飛び散り始めると、またもう一歩あとずさりしました。

 ひとりひとり順番にきねを使ってもちをつかせてもらいました。2回目をつくときはすっかり慣れて、みんなきねを上手に使ってもちをつくことができるようになりました。

 もちつきだけで今日の活動が終わったのではありません。それからもちを小さくまるめて、ゴマ、きなこ、なっとう、などをまぶしたり、雑煮にしたり、アズキをつたりしてお昼ご飯の準備をしました。「おいしいね」いろんな種類のもちを食べながら、みんなの顔に笑顔があふれました。

仕事が終わってほっと一息、おいしそうなおもちがまっています=小国町石滝で

 最後ににいろんな質問をしました。おばあちゃんは、食べ物が不足していたときには、ほんのちょっとでも、食べ物の量や、栄養を増やすためにどんな努力でもしたという話をしてくれました。そのころ、トチもちは必要だからつくっていたのですが、現在では健康的な食べ物のシンボルになったのです。これは北部小学校の取り組んでいる未来食というテーマともかみ合っています。

 生きてゆくために頭を使ったある発明が、村のなかで受けつがれてゆくことそのものが、「知恵」なのではないかと考えることがあります。それは、カキを日に干すように簡単なことや、トチもちをつくることのように複雑で時間のかかることだったりすることもあります。北部小の子どもたちに教えているおばあちゃんは、とても賢明で堂々として見えました。

 彼らの冒険は明日も続きます。健康的な食べ物や、未来食についてみなさんはどう考えますか。意見があれば北部に伝えて下さい。みなさんからの意見はきっと彼らを元気づけてくれることでしょう。

グレッグ

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