知恵だより 091号

Dec. 12 1999

雪の中を子どもたちと歩く

地元の農家の人と栃尾東の子どもたち。「最初の知恵見つけた!」栃尾市塩中で

99年12月12日 気温:1.5度 天気:雪 風向き:北西
出発地:加茂市=北緯37度46分12秒/東経139度12分55秒
到着地:栃尾市=北緯37度28分50秒/東経139度00分00秒
歩いた距離:26km

 「グレッグ めざせ日本一周知恵さがしの旅」栃尾市に向かう途中で僕を待っていてくれた栃尾東小学校の六年生の児童たちがくれた大きなクッキーには、そう書いてありました。涙が出るほどうれしい贈り物でした。僕たちは雪の中を行進し、栃尾市で知恵めぐりをするために一日を過ごしたのです。

 栃尾市で6年生の先生をしている加藤先生が、加茂市から僕と一緒に歩いてくれていました。どこまでも青空が広がる中を歩き続けていましたが、よい天気は一日中続きそうでした。先生の話だと、先生のクラスの子どもが何人か最後の10キロを一緒に歩きたいと言っているということでした。子どもたちが自分でそういいだしたのだそうです。子供たちがほんとうに僕と一緒に歩いてくれるのかと思うと、胸がワクワクしてしまいました。でも1つだけちょっと心配でした。もし天気が悪くなって寒くなったら、子供たちは家の中で背中を丸くしてじっとしてしまうのではないかなと思ったりしていました。

雪の中を前進する子どもたち 栃尾市で

 私たちが賀茂市と栃尾市の境にあるトンネルに近付いたころから雪が降り出しました。かなりの大雪で、時間も予定よりちょっと遅れぎみだったので、せっかく子供たちが一緒に歩いてくれることになっても、うまくお互いを見つけられるかどうかが心配になってきました。そんなことをあれこれ考えていたとき、目の前に自動車がとまりました。すると、なんと子どもが4人飛び出して来ました。びっくりするまもなく次に停まった自動車には3人の子どもが乗っていました。そして、もう1台のくるまで8人の子どもが着いて、一緒に歩いてくれる生徒が全員揃ったのです。そんなこどもたちを見ていると、もう何年も寒い日に雪の中を学校に通い続けてきた子どもたちが、これくらいの雪で、歩くのがいやになってしまわないだろうかと考えるなんて、馬鹿だったと気づきました。

 僕たちは、近くにある生徒のしんせきの家によって、ひと休みしながらお昼をごちそうになりました。そして、子供たちからいろいろとプレゼントをもらいました。カイロ、手編みのマフラ−、身体にいい梅の実、お守り、おいしそうなクッキー。特にその中の一枚の特大クッキーには、表面に「がんばれ!日本の知恵めぐりの旅」という言葉が書いてありれました。きのうの夜みんなで作ってくれたものだそうです。そんな贈り物をもらい、僕はどんなに勇気付けられたことでしょう。

不思議なドアの下に並んだ栃尾東の子どもたち  栃尾市で

 いそいでお昼をすませて、はみんなで栃尾市に向かって10キロの行進をスタートしました。降り続くボタン雪のひとひらひとひらが、さっきのクッキーみたいな大きさでした。その雪は、周囲に広がる田んぼに舞い降りるとすぐ溶けてしまいます。道はぬかるんで、ひと足ごとに靴を泥んこにします。

 出発して間もなく、毎日の知恵めぐりの旅がどんなものかみんなに教えてあげたくなりました。そんなことを考えている時に、田んぼのなかでおとしよりが、何か細長いものを一生懸命に巻き上げている光景が目に入りました。そんな様子を不思議そうに見ている僕たちを見て、その人もこちらをいぶかしく思ったに違いありません。その人に、僕たちがみんなで歩いているわけを話しました。そして、その人が何をしているのか教えてもらいました。冷たい水が直接田んぼに流れ込むのを防ごうとしているということでした。「冷たい水は稲の成長にわるいからね。」といいました。新潟で、いい米を作る「こつ」というのを話してもらって、うれしくなりました。知恵の発見第一号に満足しながら、僕たちはゆっくりと栃尾市に向かって歩を進めました。

 その日、行進を続けながら、神社二カ所で旅行の安全を祈願したり、途中で、雪合戦をしたりしましたが、何か変ったものはないものかと、周囲に目を配ることはわすれませんでした。そんな時、家の2階に、そこに通じる階段も梯子もないドアがあるのに気がつき、何故だろうと思ったので、土地のひとに質問しました。答えは? 栃尾東の子どもたちから詳しい報告があると思います。

こどもたちがくれた「グレッグ、めざせ日本一周ちえさがし」クッキー

 かなり長く歩いているうちに、僕たちは、斜面に掘られたほら穴に出会いました。野菜を貯蔵するためのもので、その中には見たこともないような大きなカボチャや1 メートル以上もある消火栓がありました。長い距離を歩いて、子供たちがくたびれているのではないかと気がかりでしたが、子供たちは元気そのもので、どんな知恵にめぐり会うか興味津々といった感じで、まる4時間の行程を楽しんでいました。

 僕にとって、今日一番の発見は、一緒になって歩いてくれたこの素晴しい仲間たちのチャレンジ精神と思いやりの気持ちそのものでした。子供たちが新しいことに好奇心を持ち、自分たち自身が決めて10キロもの距離を一緒に歩き、そして僕をいろいろと支えてくれたことに、僕はものすごく感謝しています。僕は必ず日本縦断の徒歩旅行をやり遂げます。それから、もう一度この子どもたちと一緒に歩いてみたい気持ちです。

 僕と一緒に10キロの道を歩いた栃尾東の子どもたちは、冒険心がいっぱいで、なかなかの行動派でした。これからもずっとそのままでい続けられるように頑張って欲しいと思います。みんなで一緒に歩いたことを、僕と同じように楽しんでくれたならとてもうれしいです。そして、知恵めぐりの旅の経験を活かして未来に向かって進んで欲しいと思います。

 一緒に歩いた知恵めぐりの旅についてもっと知りたいことがあったら、栃尾東の子どもたちに直接きいてみてください。

 グレッグ

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