知恵だより 092号

Dec. 13 1999

雪国に到着

たくさんの雪を山から引いた水を使ってとかします=栃尾市で

99年12月13日 気温:1度 天気:雪 風向き北西
出発地:栃尾市=北緯37度28分50秒/東経139度00分00秒
到着地:北魚沼郡守門村福山=北緯37度21分00秒/東経138度59分28秒
歩いた距離:20Km

 栃尾市を出発すると、灰色の空から雨がふりはじめ、僕の上着にしみ込んできました。今日はこれまでで一番辛つらい日だったかもしれません。午前中の雨は午後には雪に変わり、山の上り坂を雪と格闘しながら、山奥の村にまでいったのです。でも僕の苦しさをよそに、新潟の冬景色は美しくて、これから始まる長くて真っ白な季節を乗り越えるための秘密にあふれています。

 トドマツの森に向かって上っていくと、雪がとけた水たまりが僕の冷えきった足にしみ込みました。僕の防水のはずの雨用の上着はだんだんびしょ濡れになってしまいました。目の前に続くぬかるんだ道に気を付けながら一歩一歩進んでいくと、雪が道にびっしりと積もり始めていました。山の頂上に近い村では雨は雪に変っていました。初めは数センチしかなかった雪も、だんだんと深くなって最後は1メートルにもなり、その中を歩いていったのです。

山に向かって行く道には雪がとけた冷たい水が流れています=栃尾市田之口で

 僕の周りを囲んでいる田んぼは一面厚い雪で覆われていました。深い雪をかきわけて歩くために足を上げた時、右ひざに痛みが走りました。ゆっくりと、でも確実に峠をこえて僕は進み、次の村へと下っていきました。除雪した歩道にやっとたどり着くと、家や人々に囲まれて僕は元気を取り戻して、ひざの痛みもやわらいできました。

 山を越えてみると、冬の間に村をすっぽりおおってしまうものすごい雪に対して、村の人たちが賢い知恵をもっていることがわかりました。

笠をかぶり、かんじきをはいて雪かきをしていたおじいさん=守門村福山で

 あたりの家のほとんどが、山から流れる小川の自然な流れをうまく使って、その流れを変えて、家の前や車道に積もった雪をとかすのです。また、小さな池は除雪した雪をとかす場所に使われています。

 あるおじいさんは、かんじきをはいて家の前の雪かきをしていました。道の除雪作業が行われるようになる前は、村人たちはかんじきをはいて雪の上を歩いて移動していたのです。

 雪はとても高く降り積もり、1階の窓は雪の下になるので、ひばちひとつだけで暖めてある部屋を暗くしてしまいます。

 今回の道のりで最悪なところはもう過ぎたと思っていたら、その先も除雪されていないことが分かりました。嵐になりそうな雲が僕の前にただよっています。ずぶぬれで、寒くて、くたびれていたので、守門村まで長い回り道をするなんて考えられませんでした。今日はこの位にして、今夜の暖かい宿を探すことにしました。

山道に残されるのは僕の足あとだけ

 今日一日だけ苦労を通じて、新潟の山の村に住む人たちの大変さが良く分かりました。今年の冬もまた厳しくなるでしょう。しかし、ここの人たちはいつものように冬と接していくのです。冬の生活に備えてたくさん準備が必要ですが、村の人たちは周りの自然や環境に上手にあわせて暮らしているのです。

 グレッグ

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