知恵だより 097号

Dec. 18 1999

清津川ダムプロジェクト

これらの家も自然も、ダム計画jで水の底に沈むのかもしれません=湯沢町三俣 で

99年12月18日 気温:-2度 天気:雪 風向き:北西
出発地:南魚沼郡湯沢駅前=北緯36度55分57秒/東経138度48分36秒
到着地:南魚沼郡湯沢町苗場=北緯36度47分55秒/東経138度46分41秒
歩いた距離:21km

 今日通ってきた村々は、1億7千万立方メートルの水の下に沈んでしまうかもしれないときいて、とても心配になりました。立ち退きや、地元の経済や環境への影響について、人々は気にし始めています。きのうと今日の二日間、このダム計画について何人もに意見を聞きました。

 湯沢を後にすると、三国峠の上りにさしかかります。この道は雪におおわれた峠を越えて群馬県へと通じています。除雪した雪が道の両側に山のようになって道が狭くなっているので、歩くのはやっとでした。週末のスキーに行く車がびゅんびゅん走っていきます。

 佐藤さんは湯沢町議会の議員です。予定されている「清津川ダムプロジェクト」について佐藤さんは心配していました。

 「ダムの計画は1966年に始まって、水の需要を予測することから始まりました。ダムの下流の地域で、工業や農業で使う水の量を確保するには、毎秒35トンの水が必要と予測されました。これは、産業がどんどん発展するとされた時代の予測なので、今はもう当てはまらないということはみんな知っています。現在の予測では水需要量は毎秒2トンだけなんです。アメリカでは、ダムは、作る費用の方がそれから得る利益よりも大きことがはっきりしたとして、すっかり作られなくなっているのです。ダムがもたらす環境への影響は大きいのに、ダムの必要性ははっきりしていないのです。例えば、ブナの森復活させるなど、この地方に利益をもたらす別の方法があると思います。ダム計画はもう一度考えなおすべきなのです」

森下さんは、ダム建設に賛成している町会議員です=湯沢町三俣

 一方で、ダムの建設に積極的に賛成している人もいます。食堂で偶然であった、もう一人の町会議員、森下さんは「私たちの村は湯沢のスキー場に近いので、村の人の多くが観光で働いています。今、日本は不況なので、この辺りの観光産業も低調です。不況の中で、ダムを作り、地域を整備するのは良いことです。ダムの建設のために働く場所がたくさんできます。それに、多目的ダムになる予定ですから、湯沢町を洪水から守り、みんなが水に困らなくなります」といいました。

 二人はそれぞれ考えに基づいて意見を言っています。でも、ダムができることで一番影響を受けるのは水の底に沈む3つの村に住む人たちです。村人もまたいろいろな意見をもっています。

 地元のレストランで働いているウエイトレスは、「私はここで住むのが好きで、引っ越しさせられるという考えは本当にいやです。特に歳を取った人々はいやがっています。新しいところに引っ越して新しく友達を作らなければならないのです。もう一度最初から始めるようなもので、生活がいまより良くなるという保証は全くありません。今、私たちは観光で生活していますが、引っ越ししたら、一体何をすることになるのでしょう?田舎から抜け出したいと思う人にとっては補償金はとても魅力的にちがいいありません。補償額が大きければ大きいほどもっと多くの人たちがダム建設に賛成するでしょう」といいます。

 最後に地元の建設業で働く人と話をしました。その人は「私たちが生きている間にダムは出来あがらないでしょう。問題が多すぎます。建設業で働いている私たちには環境に良くないことも分かっています。でも私たちが好きで働いているのではありません。このために働いているんです」と、指で輪を作ってお金を示す仕草をしました。

 街道沿いの矢木沢、大島、三俣の三つの集落には民宿が並んでいます。ダムができれば水の下に沈むのかも知れません。歩きながら僕は大きな湖の底にいる気がしてきました。

 村人、建設業で働く人、役人たちそれぞれの利害がぶつかって、結論が出るのはまだ先のように思えます。みんなそれぞれに地元の将来についての考えをを持っているようにも思えます。みなさん、一番良い解決法はどれだと思いますか?

 グレッグ

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