知恵だより 104号

Dec. 25 1999

あたたかなクリスマスプレゼント

富弘美術館の前で金井さんと

99年12月25日 温度:0度 天気:晴時々曇 風向き:東
現在位置:桐生市桐生駅=北緯36度24分21度/東経139度19分15秒
歩いた距離:0km

 26年の人生で初めて、クリスマスを初対面の人たちと過ごしました。くつろげなかったのではと思われるかも知れませんが、実際には、ちょっとは気をつかいましたが、金井さん一家の温かさは、僕の遠慮を吹き飛ばしてくれました。歓迎の意味をこめて金井さんは、ぜひ東村立(あずまそんりつ)富弘(とみひろ)美術館に行きましょうと誘ってくれました。

 日本のクリスマスはとてもユニークです。金井さん一家にとってのクリスマスは、楽しい時を過ごしたり、おいしいものを食べたりするということみたいです。金井さんの奥さんは、「子どもたちが家にいたころはよくケーキを食べました」と言いました。ふたりは、僕のためにわざわざ遠くまで出かけて、「メリークリスマス」という飾りのついた小さなクリスマスツリーを買って来てくれていました。

 日本人の若いカップルには、クリスマスはデートのいい口実です。ほかの人たちは、ケーキを食べたり、プレゼントを交換したりします。日本のキリスト教徒の少なさは別にして、クリスマスは、年末を祝うもうひとつの理由になっているように思います。クリスマスの日、僕は運のいいことに、金井さんと一緒に、口に筆をくわえて詩や絵を書く、星野富弘さんの作品を見ることができました。

 星野さんは24歳の時のけがで、肩から下がまひしてしまいました。何年もの絶望の日々のあと、新しく生きる情熱を得たのです。美術館には、星野さんが、初めて口を使って書いたものが展示してあります。この崩れた字を見て、日本語を学び始めたころ、複雑な漢字を覚えようと苦労していた自分を思い出しました。何年もの練習と強い意思によって、富弘さんはすばらしい芸術家になったのです。

僕のために買って来てくれたクリスマスツリーの前の金井さん夫婦

 美術館の展示でみると、富弘さんは急速に技を磨いてきたようにみえます。つたない文字から、複雑で、色付きの水彩画になり、そして詩がつくようになっていったのです。星野さんの絵はそれ自体がとても素晴しいですし、詩は涙をさそいます。星野さんの作品は、花と人の本質をとらえる彼の能力をよく示していると思います。星野さんは自然のもつ偉大さもとその現実の両方を見ているようです。作品の中から、ふたつ選んでみました。

「コスモス」(1979年作)
風はみえない
だけど木に吹けば緑の風になり
花に吹けば花の風になる
今、私を過ぎていった風はどんな風になったのだろう

「しおん」(1980年作)
ほんとうのことなら多くの言葉はいらない
野の草が風にゆれるように小さなしぐさにも輝きがある。

 星野さんの情熱、不運を夢に変えるためにぶつかってきた苦難、そして自然についての語り方はとても胸を打ちます。彼は自然の中の厳しさと美しさを見ています。そして、自然の偉大さの中に生き続けているのです。

 星野さんの作品を通して伝わる強さや決意、自然に対する理解を一緒に体験することで、金井さんの家族は僕にとてもあたたかいクリスマスプレゼントをくれたのでした。

 ふたつの詩からみなさんは何を感じましたか?

 クリスマスには何をしましたか?

 グレッグ

知恵のトップ画面へ
< >

Copyright World School Network & ECO-CLUB, 1998-99. No reproduction or republication without written permission.
この画面に掲載された記事・写真・イラスト等の無断転載を禁じます。すべての著作権はワールドスクールネットワークとエコクラブ、ならびにそれぞれの著作物の作成者に帰属します。

Send feedback to info@wschool.net
ご意見、お問い合わせはinfo@wschool.netまで