知恵だより 110号

Dec. 31 1999

大みそか

青木家の三世代。青木さんと娘さんが羽子板で遊んでいる後ろで、おばあさん はソバをこねています=栃木市の青木さんの家で栃木市青木さん宅で

1999年12月31日 気温:5.5度 天候:晴時々曇り 風向き: 南東
出発地: 佐野市駅前=北緯36度18分50秒/139度34分47秒
到着地: 栃木市栃木駅前=北緯36度22分27秒/東経139度43分51秒
歩いた距離: 21Km

 今日は1999年最後の日です!アメリカで育った僕にとって、お正月はいつも友達や家族といっしょにお祝いしたり、将来に向けて新しい目標を立てたりする時でしたが、今年は、日本の人々が大みそかをどう過ごすのか、新しい年に向かってどんな希望をもっているのかを見届けて過ごしました。

 佐野市の中心部を出発してから、ほとんど人に出会いませんでした。僕が想像するには、日本人はこのめったにない機会なので、ゆっくりと眠っていたのでしょう。僕は幹線道路を避け、住宅地につながる脇道に入りました。

若いおばあさんが、自家用車を洗っています。これで今年の大掃除は終わりです=佐野市で

 この道で出会った人たちは、みんな大掃除にいそがしそうでした。大掃除は、新しい年が明ける前にすませておかなくてはいけない大事な習慣なのです。大掃除で家々から出たごみを燃やしている、たき火も見ました。近くに寄ってよく見ると、ダンボール箱や買い物袋や包み紙、空缶までも燃やしていました。お年寄りの女性が自宅の前の道路に水をまいてきれいにしていました。美容院の持ち主が自家用車にワックスをかけていました。男の人が垣根に今年最後の手入れをていねいにしていました。見ていて僕は、アメリカの家でする「春の大掃除」を思い出しました。

 毎年春に僕の家族がする、気まぐれな掃除と違って、今日僕が見た大掃除は、お正月の儀式に通じるものがあるようです。ここの住民何人かと話しをしていて、この大掃除がこの一年の最後の大仕事であることが分かりました。「一年間家族を見守っていてくれた神様のために家をきれいにすることは、神道の古い伝統と関係があるのです」と、ある男の人が説明してくれました。

若いだんなさんが去年のごみを燃やしています=佐野市で

 「今年の仕事はこれで終わったよ」と男の人が庭からうれしそうに言いました。彼の息子さんは、私たちの後ろでダンボール箱を燃やしています。「穏やかで平和な新年になるといいですね。健康で、そこそこの幸せがあればいいのです」。そう彼は新年の抱負を僕に教えてくれました。今夜川崎に行って有名な神社で初もうでをしたあと、三日間はのんびり休むのだそうです。まだ若いおばあさんは、一歳になった孫が健康でありますようにと祈り、ほかの人々も健康でいられますように、と祈っていました。

 お正月の休みを過ごすために青木さんの家に迎えてもらいました。家に着くなり、僕は大みそかの行事に巻き込まれました。青木家最年少の9歳の女の子はいっしょに「羽子板」で遊ぼうと誘ってきました(羽子板は、板と玉で遊ぶ、日本版バドミントンのようなものです)。しばらくして、父親と娘がまだ居間で羽子板をして遊んでいる間に、青木さんのおばあさんからソバの作り方を教わりました。大みそかには、長い命のシンボルとして、長いソバを日本中で食べるのです。

おばあさんがソバを足でこねています=栃木市青木さん宅で

 「紅白歌合戦」という人気音楽番組がにぎやかに続いているのを聞きながら、おいしいソバをすすりました。毎年、NHK(日本のテレビ局のひとつです)はとくに人気の高かった日本の曲を、豪華な演出で見せてくれます。最近の音楽は分からない、というおじいさんを除いて青木家の全員は、出演する歌手たちがまるで知り合いのように興味を持ち、よく知っていました。

 青木さんの長女は、2000年に行われる高校受験に合格したいと言っていました。おばあさんはこれからも健康で家族の面倒を見続けたいそうです。青木さんは栃木県にある植物リストを完成するのが楽しみで、おじいちゃんは自分の人生でするべきことは全部した、と言い、「あと望むのは元気でいられることだけです」とほがらかに言いました。

 ところで僕の新年に対する抱負ですが…知恵を探しながら日本中を歩くのが僕の夢なので、この旅を元気にやり遂げたいと思います。知恵は僕たちの未来を切り開いてくれます。僕は知恵を探して歩くだけでなく、知恵が僕の中に根づいてくれるよう、行動していきたいと思います。

 今日僕が出会ったすべての人々に、それからWSNのみなさん全員に、それぞれの新年の抱負が実現するよう祈ります。みんながこの1年、僕に力を与えてくれました。ありがとうございました。輝かしい2000年に、ともに仕事ができるよう祈っています。

 2000年問題がどうなるか、ほんの少し不安です。

 グレッグ

 (翻訳: 畝本紀子)

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